歯周病と大腸で起こる病気の因果関係

春日部市豊春駅前の歯医者、チャーミー歯科春日部でございます。

歯周病は日本人のおよそ8割が患っているといわれる、国民病と言えます。

歯周病と全身疾患についての関連も指摘されており、自覚症状が乏しいため早期治療・予防が重要となっています。

さて、今回は潰瘍性大腸炎などの大腸で起こる病気との関連について書いていきます。

 

昔から、歯がない人に消化器系の病気になる人が多いと言われてきました。

単純に歯がないため、十分に食べ物を咀嚼できていないまま飲み込むため、消化する際胃や腸に負担がかかるのも一つの要因だと言えます。

しかし、それ以外にも理由があると近年の研究で明らかになってきました。

2017年に慶應義塾大学の研究チームがまとめた報告によると、口腔内の「クラブシエラ・ニューモニエ」という常在菌が腸内に定着、増殖することで炎症を引き起こすことがわかりました。

この炎症は、クローン病という難病指定の腸疾患患者に多くみられる病態だそうです。

(クローン病の原因はいまだにはっきりとしておらず、研究が進められています。おもに若年者にみられ、腹痛や下痢、血便、体重減少などの症状が見られます。)

クラブシエラ・ニューモニエは肺炎などの原因菌ともなりますが、口の中ではさほど強い毒素ではく病原性は高くない。

しかし、腸にたどりついてしまうとたちまち危険性が高くなるのです。

クラブシエラ・ニューモニエを含む多くの菌は一般的に胃酸でころされますが、胃酸が少なかったり、食片にまぎれて腸まで到達すると増殖する恐れがあるのです。

健康な人の腸にはたとえ菌が紛れ込んだとしても定着することを防ぐ自己防御システムがありますが、病気で抗生物質を服用している人は腸内環境が悪くなっており防御システムがうまく機能しないことがあります。

あまり関係はないと思われがちな口と腸が、実は大きく関係しているのです。

今後の研究次第では例えば便中の菌の種類や数を調べることで大腸がんなどのリスク判定が可能になるかもしれないと期待されています。