人工甘味料と腸内環境のはなし

春日部市豊春駅前の歯医者、チャーミー歯科春日部でございます。

 

今回は人工甘味料と腸内環境についてを書いていきます。

腸内環境は口腔内の環境と似ていると言われています。

悪玉菌が優勢になると腸内は便秘がちになったり免疫力が低下し様々な疾患にかかりやすくなったりと体調に直結します。お口の中だとむし歯や歯周病を進行させやすい環境になったり、免疫力を下げたりと、こちらもいいことはありません。

 

さて、ではまず人工甘味料とはなにか?というところから書いていきます。

 

人工甘味料とは?

人工甘味料とは砂糖、麦芽糖、果糖などのような自然に存在するものとは異なり、人工的に化学合成された甘味料のことです。代表的なものにアスパルテーム、スクラロース、サッカリンなどがあります。

人間の体内では消化・吸収・代謝がされにくく、砂糖
よりも低カロリーである上に少量でも甘味が強いという特徴があります。

その特徴を利用してダイエット飲料やガム、調味料や漬物など様々な食品にも幅広く使用されています。

ちなみに、エリスリトールやラカントなどをダイエットのために使う方もいらっしゃると思います。

こちらも甘みがあるのにカロリーが低く、砂糖の代替え品として人気です。

しかしこれらは人工甘味料ではなく、天然由来の成分を元に作られており、分類的には糖アルコールとされています。アルコールとついていますがアルコール成分は入っていません。

混ざらないようにお気をつけください♪

 

人工甘味料と腸内細菌の関係

人工甘味料を摂取することで腸内フローラに影響を与える可能性が示唆されています。

以下論文を引用します。

●腸内フローラの変化と糖尿病
人工甘味料(サッカリン)、高脂肪食、コントロール(ブドウ糖)をそれぞれマウスに与えたところ、コントロール群と比較してサッカリンと高脂肪食を与えたマウスは耐糖能障害を発症した。

また、無菌マウスに「サッカリンを与えていたマウスの腸内細菌」を移植すると、無菌マウスでも耐糖能異常を示した。

ヒトにおいては、7 名の健康なボランティアにサッカリンの 1 日当たりの最大許容摂取量(5 ㎎/kg)を 1 日 3 回に分けて 6 日間摂取してもらったところ、4 名に血糖異常が起き、 4名の腸内細菌を無菌マウスに移植すると、移植されたマウスで耐糖能障害が起きたという実験結果があります。(Jotham Suezet al., Nature. 2014 Oct 9;514(7521):181-6.)

 

●クローン病(CD)のリスクを増加させる
アメリカで、人工甘味料(スクラロース)をマウスに与えたところ、マウスの腸内でプロテオバクテリアが増加し、クローン病マウスは正常マウスと比較してより強い影響を受けた。

また、すべてのマウスでプロテオバクテリアの拡大を伴う腸内フローラの異常を促進し、回腸固有層への細菌浸潤の増加を伴う大腸菌の過繁殖を促進したという研究結果があります。(AlexanderRodriguez-Palacios et al., Inflamm Bowel Dis. 2018Apr 23;24(5):1005-1020.) 

●母親の摂取と子どもの腸内フローラの変化
母マウスにスクラロースとアセスルファム K の混合液
(1 日摂取許容量(ADI)または、ADI の 2 倍量) 、または水を与えて、仔マウスに対する影響を観察し、226 匹の仔マウスの血液、糞便、尿検体を解析した。

結果、人工甘味料が胎盤を通じて母親から子に移行すること、仔マウスの空腹時血糖値と体重の低下を確認した。

また、アミノ酸や炭水化物、脂質、解毒などの代謝や
腸内フローラに変化が現れたことを発見。特に肝臓の解毒に関する酵素の発現が抑制されて解毒機能に障害が現れ、さらに、腸内細菌層が乱れ、有益な腸内細菌が激減した。

これらのことから、スクラロース、アセスルファム K
の出生前後の暴露は、子に代謝および腸内環境の変化を引き起こし、将来の代謝性疾患を生じさせる可能性があることがわかった(Stephanie Olivier-Van Stichelenet al., Front Microbiol.2019 Jun 20;10:1360.)。

以上研究論文から引用させていただきました。

このように、代謝系の疾患を引き起こす一因になることが分かります。

過剰に心配する必要はありませんが、様々な商品が売っている今全く口にしないことは難しいかもしれないので出来るだけ栄養成分表示をチェックし、取り入れない工夫をすることも健康のための一歩かもしれません。