ボトックス治療
ボトックス治療とは、ボツリヌス菌から抽出されるたんぱく質の一種を過度に緊張している筋肉に注射することで、一時的に緊張をほぐす治療法です。
ボトックス治療は美容外科などでも広く取り扱われており、主には筋肉の過度な緊張が原因で生じるシワを改善したり、小顔治療などにも用いられております。歯科領域においては、ボトックスの持つ「筋肉の緊張をほぐす」という性質を利用して、歯ぎしり・食いしばり・顎間節症・ガミースマイルなどの治療に使用されます。
特に食いしばりは、歯を悪くしてしまう要素として非常に大きな割合を占めている習慣。ご自身ではなかなかコントロールできない無意識での筋肉の緊張を抑制し、歯にかかる力をコントロールすることで、噛んだ時の歯への負担やダメージを和らげることができるのです。(※ボトックス注射とは、ボツリヌストキシン製剤の商品名です。一般的にボトックスという名称が普及しているため、患者さまに解りやすいようボトックスという名称を使わせていただいております。)
歯科医院でボトックス治療を行う理由
当院では、歯ぎしりや食いしばりなどから歯を守るための治療の他、歯科治療によって損なわれてしまったお口元の審美性の回復についても、ボトックスやヒアルロン酸を活用し、治療にあたっております。
「ヒアルロン酸やボトックス注射を打つなら、歯科医院ではなく美容外科の方が良いのでは?」
それらの領域を専門的に学んでいる歯科医師が、口腔内の改善と合わせて総合的にアプローチすることで、より自然でバランスのとれた美をプロデュースすることが出来ると考えております。
ボトックス治療の注意点
施術者の技術、知識、経験によって結果に違いが出やすい治療です。
ボトックス治療は、ドクターの技術や経験によって結果に非常に大きな差が出てしまいまう治療法。
注入する薬剤の注入量や濃度、注入部位の調整などは、ある程度決まったマニュアルがあるにしろ、最後の微妙な調整はどうしてもドクターの経験や感覚にゆだねるしかないのです。
当院では、ボトックス注射の施術はすべて、当院のボトックス担当医である野本恵子が担当しております。
野本恵子先生について
当院のボトックス担当医、野本恵子は、審美歯科の分野、特にヒアルロン酸やボトックスを活用したお口元の審美回復において多数の実績と経験を積んでおり、メーカー主催歯科医師向けセミナーの講師としても活躍をしております。
また、歯科の分野にとどまらず、医科の領域についての知見も深く、「日本抗加齢医学会専門医」「口腔ヒアルロン酸治療認定医」「国際抗老化再生医療学会専門医」などの資格も保有しております。
最近は歯科医院でもヒアルロン酸治療やボトックス治療を実施している医院が増えてきましたが、これらの治療は、薬の濃度や量、注射を打つ場所によって結果に大きく差が出るため、歯科医師の経験や技術が必要とされる項目です。患者さまの中には、ヒアルロン酸やボトックス治療は自費治療となるために、少しでも安い医院を、と価格で歯科医院を選定される方もいらっしゃるようですが、お口周りは、お顔の中でも特に相手の印象に残りやすい部分。
治療後に、こんなはずじゃなかった、と後悔をしないためにも、まずはしっかりとした実績と経験のあるドクターに相談をし、ご安心できるまで説明を受けてから治療を開始することをおススメいたします。
ボトックスは、このような症状に有効です
ガミースマイルの治療
ガミースマイルとは、笑ったときに歯茎の大部分が見えてしまう状態の事を言います。「思いっきり笑えない」「口を開けるのが恥ずかしい」という気持ちは、表情だけでなく、精神的にも大きな影響を与えてしまうもの。ガミースマイルがコンプレックスとなってしまっている人も少なくはないようです。
ガミースマイルになってしまう原因は人によってさまざまですが、「上唇を持ち上げる筋肉が強すぎるため、歯茎が見えすぎてしまう。」という場合にはボトックス治療が有効となります。
具体的には、上唇の上げ下げをコントロールしている「上唇挙筋郡」という筋肉にボトックスを注入することで過剰に上唇が引き上げられることを抑制し、歯茎が見えすぎてしまうことを防ぎます。ガミースマイルの原因によっては別の治療法をご提案させていただく場合がありますので、まずはご相談下さい。
歯ぎしり、食いしばりの治療
歯ぎしり、食いしばりとは、起きている時や寝ている時に無意識に歯を強く噛みしめたり、横にグリグリと動かしたりしてしまう生理現象のことを言います。歯ぎしりや食いしばりは、習慣化してしまうと歯に過度の負担とダメージを与え、歯が割れてしまったり、歯周病を悪化させる原因にもなってしまいます。
また、歯ぎしりや食いしばりといった症状を抱えている患者さまは、咬筋(主に食べ物を噛む時になどに使われる筋肉)が過度に緊張し、必要以上に発達している傾向があります。
咬筋の肥大は、ほおっておくと顎の痛みや血行不良、ストレス、頭痛、肩こり、エラ張り、むくみなど、さまざまなトラブルを引き起こしてしまうため、このような場合においてもボトックス注射により緊張をほぐし、症状を緩和してあげることが有効となります。
顎に出来る梅干しシワの改善
顎に梅干しシワができてしまう原因は、顎と歯に起因する場合がほとんどです。
単純に歯並びや口呼吸などが原因で生じているシワの場合、矯正治療を行ったり、習慣の改善でシワも治すことができるケースもありますが、実は、逆に歯科治療を行うことでシワが目立つようになってしまう、という事もあるのです。
このような、歯科治療と密接に関係している梅干シワの場合、治療と並行してボトックス治療を行うことが有効となります。
梅干シワを作ってしまう原因は、下唇を持ち上げて口を閉じる筋肉(オトガイ筋)の過度な緊張によるものがほとんどですので、このオトガイ筋にボトックス注射を打つことでシワの発生を抑制します。
口角の下垂
口角は、表情筋の衰えや重力の影響など、年齢とともに下がってきがちな部分。また、歯の摩耗などで噛み合わせが低くなってしまった場合などでも下がってしまう場合があります。
その性質上、だんだんと、徐々に下がってくることが多いため、以前は気にならなかったけれど、だんだん気になってきた、という方も少なくはありません。このような症状に対しては、口角を下げる筋肉の働きを抑制するボトックス治療が有効となります。
口角の高さは、口角を引き上げる筋肉(口角挙筋)と引き下げる筋肉(口角下制筋)の強さのバランスで決まっていますので、この引き下げる筋肉(口角下制筋)の働きを弱めることで、引き上げる筋肉(口角挙筋)を優位にし、自然と口角が上がるように調整していきます。
ボトックス治療の流れ
- かみ合わせやお口の中の状態をチェック
- 施術個所のみ、メイクを落としていただきます。
- 表面麻酔を塗ってから、該当箇所にボトックス注射を打ちます。
- 注射後3~7日程度で効果が現れ、約4~6か月間効果が持続します。
ボトックス治療に関するよくある質問
Q. | ボトックス治療には、どのくらいの時間がかかりますか? |
A. | 施術時間は約10分程度で終了します。 |
Q. | 注射をする際、痛みなどはありますか? |
A. | 非常に細い針を使用するため、痛みはほとんどありません。 当院では希望により表面麻酔も使用しておりますが、表面麻酔をせずに注射された患者さまでも「痛くなかった」とおっしゃる方がほとんどです。 |
Q. | ボトックス治療で中毒になってしまうことはないのでしょうか? |
A. | ボツリヌス菌は、食中毒なども引き起こす強い毒素を持つ菌として知られておりますが、ボトックス治療では毒素を持つボツリヌス菌そのものを注射するわけではありません。 ボツリヌス菌から取り出された天然のたんぱく質「ボツリヌス・トキシン」のみを使用しており、かつごく少量の菌を菌を注入するものですので、適切な治療をしている限りはボトックス注射によって中毒が引き起こされることはありません。 また、当院では、ボトックス製品の中でも中でも最も安全性が高いと言われている厚生労働省承認のボトックスビスタ(アラガン社)を使用しておりますので、安全性・信頼性においてもご安心いただけるかと思います。 |
Q. | ボトックス注射ができないケースはありますか? |
A. | 下記の状態・症状のある患者さまに対しては、ボトックスによる治療はできません。
妊婦・授乳中の方 |
Q. | ボトックス注射を打ってもらいましたが、すぐに効いてこないのですが…。 |
A. | ボトックス治療はヒアルロン酸と異なり、治療直後から変化があるわけではありません。 表情筋であれば4日から1週間くらいで効果が出てくることがほとんどですが、咬筋のエラに関しては2週間から1か月後くらいで見た目の変化を自覚するようになるかと思います。 |
関連痛における疼痛発生源と疼痛感受部位との相互関係
人間の体はさまざまな部位が相互に繋がっております。
このことにより、「関連痛」といい、例えば咬筋肥大により肩こりが出たりすることもあります。咬筋肥大による肩凝りは改善いたします。
つまり、この関連痛に関しては、口腔領域が原因のものについては、治療効果が見込めますが、口腔領域以外が原因のものについては、当院は医科の病院やクリニックと連携しており、ご紹介させていただいております。
また、主訴が額顔面口腔領域のものについては治療可能ですが、それ以外の部分の治療については、同様に、提携している医科の病院やクリニックをご紹介させていただいております。
側頭筋 | 咬筋 | 外側翼突筋 | 内側翼突筋 | 胸鎖乳突筋 | 顎二腹筋 | 僧帽筋 | |
耳痛 | |||||||
顎角部 | |||||||
上顎歯痛 | |||||||
下顎歯痛 | |||||||
顎関節痛 | |||||||
頭痛 | |||||||
耳鳴 | |||||||
耳閉感 |